還暦つれづれ
  
一巡りして 396とおりの新たな出立
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新しい泰山木の生長とともに始まる
私たちの旅路
 
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苗・とこ対談
〈仙台に暮らせば……〉その2
08  苗……三浦苗子 (旧姓・菊田)
とこ…澤本登代子 (旧姓・園田)
とこ こんにちは! しばらくでした。十六期の情報誌『泰山木』の編集部が、還暦特集号を出すから、60歳を迎えるに当たって思い出すこととか、これからの目標などを書いてほしい、っていってきてますよね。でも改まって原稿用紙に向かうのはどうも、と渋っていたら、じゃ、いつかの<苗・とこ対談>形式で、もう少し短かめにお願い! というので、またお宅にお邪魔することになりました。よろしくお願いします。
 こちらこそ。ありきたりのおしゃべりになってしまうかもしれないけれど……。
とこ ではまず、仙台ならではの思い出というあたりからいきましょうか。
 五人の子どもの子育てを仙台でできたっていうことがなんといっても一番のことね。子どもたち、その友だち、いとこたちという具合にいつも多くの子どもが集まってきたので、本当ににぎやかに過ごせたわ。我が家の敷地の一角には用水路があって川になっているんですけど、そこで魚やザリガニをとったり、大きなゴムボートを浮かべてみたり、秘密の基地を作ったりで、子どもたちが大騒ぎしていると、面白がって一緒にいろんなことをして楽しむ母親でした。そうそう、にわとりも飼っていたわ。
とこ 本当に自然が豊かね。車で一時間も走れば、登山、スキー、渓流ハイキングなどができるから、子どもや夫と一緒に生活を楽しめました。秋はなんといっても芋煮会。里芋の収穫のころになると広瀬川の河原に大勢集まって芋煮用の大きな鍋で作るんだけど、格別の味よね。あと、東京で暮らしていた母を呼べたこともよかった。現在は施設にいますが、東京ではとても望めないような豊かな環境で生活できているので、娘としてありがたいと思ってます。
 それと私の場合は、仙台でまたとこちゃんと出会えたこと。学生時代の友だちとこちらで会うことはないだろうと思っていたから、本当にうれしかったわ。
とこ そう言っていただけるのは、恐縮ですけど、うれしいことです。私も誰も知らない土地に夫の仕事の関係で来たわけだから、苗ちゃんがいると思うととても心強かった。こちらこそありがとう、だわ。私のほうは、夫が日本の学生だけでなくいろいろな国からの留学生と接することも多いことから、よく自宅に皆さんを招いてパーティをしました。留学生のお国のおいしい料理を作ってもらったりして、ね。これは今でも折に触れてやっています。ただ留学生さんたちは、私たちが当時住んでいた公務員住宅でのパーティなど、よくこんな狭いところで、とびっくりしていたかもしれないわ。
 で、これからどう過ごしていくか、ということになるのね。子どもが五人いてにぎやかだった我が家も今は夫と二人暮らし。その夫が今年の2月、脳梗塞で倒れました。おかげさまで最近退院したといっても、まだリハビリの最中なんだけど、私はすべてのことは神様のご支配のうちにあると思っているので、一日一日を神様のお力で歩ませていただきたいという気持ちでいます。これまでの生活を大切にして、ね。
とこ そういう、すべてを受け止めて、流れに逆らわない苗ちゃんの生き方はすごいな、といつも思ってます。なかなかそう考えられないのが普通だと思うんだけど……。でもこれからの楽しみということでは、少し前からミニ菜園で野菜作りを始めました。苗ちゃんはホントに上手にたくさん作ってるわね。私も少しでもいいから自分で育てたものを自分の口に入れたいと思って。とにかく仙台は食生活が豊か! おいしいお米、近くの牧場の搾りたての牛乳、三陸でとれたばかりの魚の味など、仙台に来たから知ることができたと思うし……。自家製の野菜をこれに加えて、生活全体を豊かにできたら、という気持ちもあるんです。苗ちゃんが仙台での暮らしについて思ってることは?
 自然に恵まれ、またそのほかでも多くの恵みをいただいたことは、もちろんかけがえのないことだけど、もとはといえば私は同じ信仰を持った人と結婚するために仙台に来たのね。だからこの地での生活から派生してできた多くの方たちとの交流は私の人生そのもの、ということになるんでしょうね。
とこ 仙台で、ということではないと思うけれど、私についていえば、これから何をしようか、ということではなく、今すぐ何ができるか考え、その日その時を楽しもうと思ってます。それもその時を大切に過ごしたことになると思って……。
 これからもどうぞよろしく。もっともっといろんなことがあったはずなのに、いざ思い出すとなると出てきませんでした。でも、こんなところで、苗・とこ対談、第2 弾、60歳を迎える私たちの近況報告、っていうことにさせていただきましょうか。