還暦つれづれ
  
一巡りして 396とおりの新たな出立
夢があり希望があり 次世代への思いがある
新しい泰山木の生長とともに始まる
私たちの旅路
 
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徒然なるまま……
 のグータラ生活から
 「あの高みへ」
14 丹羽 豊 
 「還暦」といえば、悠々自適のマイライフ…… と聞いていたが、いざその境遇になってみると、まだしばらくはサラリーマンを続けることとなっているし、全然そんな気分ではない。毎朝6時に起きて新聞に目を通し、素早く朝食をすませる。7時頃には自宅を出て、満員電車に揺られながら、勤務先の都心(ちょっと北のほうであるが)まで約二時間。
 職場でも、遠くて大変ですね、といわれるが、かれこれ三十数年のサラリーマン生活が身にしみており、この時間帯はあれこれと観察に暇がなく結構忙しい。沿線の花・季節の移ろい・田圃・畑・果樹……自然の恵みを観察する機会でもある。、お受験、らしい幼い通学者にも感心する。改札口やホームで若い母親とバイバイしている……電車がくる。
 網棚のあいているところを目指して何とか入り込む。そのうちさらに内側に押しやられる。鞄から本を取り出す。鞄は何とか網棚に置く。一年に何回か偶然、うっかり座ってしまうと、五分としないうちにうとうとしてしまう。以前には図書館から借りて「司馬遼太郎全集」、塩野七生「ローマ人の物語」を全巻読んだことも……。あのころは、少しでも記憶にとどめるべく「ノート」をとっていたが、今はほとんど忘却の海の底。(……中略)
 帰りの新宿駅7時頃着。この時間だと自宅へは、
@ 7時02分発急行橋本行き、
A10分発準特急高尾山口行きか、20分発特急八王子行き、調布で乗り換える、、
B22分発急行橋本行き(必ず座れる)の三種類あるが、この場合だと@02分の急行に乗る。直通なので乗り換えなくてもよいので、下車駅の階段付近になるよう車両を選ぶ。朝の続きを読む。発車後15分ぐらいして調布の手前のつつじヶ丘あたりで大概座れる。急に瞼が重くなる。読むペースが落ちる。何とか乗り過ごさないように気をつけながら下車。7時42分。ほぼ階段あたり。
 改札口を出て、週末はどうしようか。どこか山に出かけたいが、あいにくの梅雨空だし気が進まない。丹沢ぐらいなら近いし……「よし明日出かけよう」。駅近くのスーパーで「お昼のラーメン」「おいなり」などを仕入れる。そして翌朝は、はかったように「雨模様」、即延期。
 
 このところ目標としている、日本百名山、深田久弥、完歩、については、あと十数カ所。そのうち今年はこれまでに東北の岩木山、九州の開聞岳と二カ所行くことができた。これまで行かずに残っているところは、それなりに理由があるようだ。いわく
@遠い(従って交通費など高い)、
A山に魅力が乏しい(と思われる)、
B 熊・ヒグマが出そう(すみかを奪ったのは人間ということだが)など……。
 これからは何とか健康を維持しながら、というか健康を維持するために、「無理せず」「少しずつ」クリアーしていこう。打率などと違い「減ることはない」ので、心配がいらない。まさに「継続は力なり」である。できれば「家族一緒の旅行」として、のんびりと「山とその周辺」歩きをしていければよい。
 「……日の下で神から賜ったあなたの空なる命の日の間、あなたはその愛する妻とともに楽しく暮らすがよい」(「伝道の書」第九章九節)というわけだ。この作者はそのあとで「ただし、そのすべてのことのために、神はあなたをさばかれることを知れ」とも言っている。
 梅雨も明けたし、とりあえず今月末(七月)には北アルプス「黒岳(水晶岳)」にいこう。危惧していた台風も去り、不通だった沢渡周辺も開通した。登山口の新穂高温泉までは大丈夫そうだ。問題はいつものグータラ生活から「あの高みへ!」という切り替えがうまくいくかどうか……。そのあとは今年は二〜三カ所行きたい。そうすれば残りは待望の一桁となる。加賀白山だとか四国あたり。昨年のような、熊の出没騒動、や、大雨・山崩れ、はごめんこうむりたいものだが……。