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 昼食を摂る時間もなく、やむなくバスのなかで、売店で買ったご飯二膳分ぐらいの特大のおにぎりをほうばる。私達を出演者と勘違いして、衣装替えの時間がないと心配するガイドさんとの会話を楽しんでいるうちに、コンサート会場の大雪クリスタルホールに到着。
『開館五周年記念、日本のプリマドンナ 旭川の秋に憩う』と題された今回のコンサートは、「秋山恵美子を聴く会」主催、旭川市大雪クリスタルホール、北海道新聞旭川支社共催、JAS日本エアシステム協賛とある。 いよいよ開演。艶然たる笑みを浮かべて秋山さん登場。華やかなドレスがとてもよ

く似合っていたのだが、何色だったかどうしても思い出せない。昔は絵の様に脳裏に焼き付いたものなのに。嘆くよりも老人力が付いたとポジティブに考えよう。プログラム前半は「この道」「初恋」など、日本の歌を八曲、情緒豊かに歌う。透明な響きに身を委ねると、心の傷が癒えていくようだ。休憩を挟んで、バリトンの杉江氏が三曲。そのあと秋山さんがオペラのアリアを豊かな声量で聞かせてくれた。極限に挑むような歌い方をするオペラを聴くと、以前は少し疲労感が残ったりもしたが、今は逆に、そのエネルギーから元気を貰えるような気がする。そして、私ももう少し頑張れるかなという気がしてくる。秋山さん、いつまでも華麗にいつまでも歌って、夢とパワーを与えてください。

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