これについて日本で問題になっているのは、そのクロイツフェルトヤコブ病で死亡した人のものが、輸入された人口硬膜に使われていて発症するという、エイズの場合と同じ医療事故です。国は十年以上前に情報を持っていたといわれ、国の責任が問われています。
狂牛病は潜伏期間が十年以上と長いため、イギリスでは2005年あたりが再度社会問題化するのではないかと心配されています。日本でも輸入牛肉は、アメリカ牛とオーストラリア牛が70%近いシェアを占めていますが、アメリカ牛の場合、同様の問題が懸念されます。
数年前に席巻しすでに常在菌になったO-157も、狂牛病も、私たち人間が、牛の生理を無視した肥育を行ったことから起こったと言われています。
O-157はもともと牛の腸の中にいた常在菌です。私たちの体の中にも常在菌は星の数ほどいるわけで、これら細菌の数の方が遙かに多く、勢力も強いんです。その中で健康に過すためにはバランスを保つことが大事です。
ところが本来草食動物の牛に、動物性蛋白や穀物などの濃厚飼料を与え、胃に負担をかけるような肥育の仕方をしたために、ストレスから常在菌が突然変異を起こして強力なベロ毒素を持つような菌に変わったと言われています。
これも結局人間が肥育効率を高めるあまりに起こしたことで、それが私たち人間に戻ってきているというのが今の状況です。
環境ホルモンは今大きな問題になっていますが、それは大人よりこども、こどもより乳幼児、そして |
一番強く胎児に影響を与えます。しかも、女性が一番感受性が高まって環境ホルモンの影響を受けやすい妊娠7週目くらいの時期に大きな影響を受けると、産まれてきた子供は生殖機能の致命的な傷害を受けると言われています。 私たちは、そうし事態に配慮して絶えずまわりの環境を安心できるものにしていかなくてはいけないのですね。
これからの課題、まとめとして、私はそこで、シンプルライフの薦め、健康と環境に配慮した自給率の高い食生活の確立ということを申し上げたいと思います。
最後に、『心は遺伝子を超えられるか』というような、最先端の学者も心を悩ませている問題に、私たちも日常的に関わり、考えていくことが必要だと思います。三次元の私たちの世界に四次元のものが現れた場合、それをどう認識できるか、どう考えていくべきかという知恵が求められていると思います。
科学技術というものが絶対ではないということは誰もがわかっているし、研究者自身もそう語っています。けれどもその技術がかなり有用と思われるときは、とかく陰の部分を見落としがちです。そういうときこそ、果たして本当に必要な技術なのかということを、問い直さなくてはいけないのではないかと感じております。
ということで、私の話を終わりとさせていただきます。ありがとうございました。
(この泰山木講座は、2000年の9月に行われた実際の三宅さんの講演を文章にまとめたものです) |