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☆☆カリフォルニアで作っている

☆若井千鶴・ハンソン
 立高の食堂のメニューを全部覚えているかた、いらっしゃいますか?
 私はひとつしか覚えておりません。それは「玉丼」すなわち玉子ドンブリです。卒業した後のことです。あれは、まだ、20代の時だったでしょうか、どうしてもあの「玉丼」が食べたくなって再現したことがありました。その時はあの味をまだ、舌が覚えていたのでかなり本物に近づけて再現できたと思います。以来、折にふれ、時にふれ、立高時代の原点にかえりたくなった時に、再現の再現を繰り返しておりました。
 というわけで、この歳になっても、まだ、あの「玉丼」の味だけは、ヴィヴィッドに思い出すことができます。アメリカに来てからも、何度か再現クッキングをいたしました。そしていつも、できた、できた、おいしい、なつかしい、と感動しています。
 先日も、アメリカに送ってもらった『泰山木』4号の「高齢社会をどう生きるか」を読んでいるうちに、久しぶりに何度目かの再現クッキングをする気になりました。できた、できた。やはり、おいしい。なつかしい。
 「高齢社会をどう生きるか」を読みながら、そこに載っている懐かしい顔たち……講師を務めている、ちーこ(白井=古堅)のめがね姿を横目に、下川(正和)の白髪と片山(布自伎)の広くなった額を見ながら、いただきました。自己流で恐縮ですが、あの「玉丼」のレシピをご披露させていただきましましょう。(次ページへ続く)
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