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大平浩哉著
『国語科教育改造論』
――次なる改訂への提言――
木村富美子

 立高のとき、国語を教えてくださった大平先生が、昨秋ご上梓された論文集である。その前にも『国語教育改革論』を出されている。
 先生は、都立高、高専を経て、文部省初等中等教育局教科調査官、視学官を長年勤められ、宮城教育大学教授、早稲田大学教育学部教授を歴任後、平成10年3月定年退職された。その間一貫して国語教育のあり方を考えられ、教科書の改訂にも携わってこられた。この本は、その集大成でもある。
 先生は、昨年の同期会に出席くださって、国語教育について情熱的に語られていたと、友人たちから伺っている。そこで僭越ながら、私が恵贈いただいたご著書の紹介をさせていただくことになった。
 新刊ご案内はがきの「著者の言葉」の中で、「戦後60年にわたる国語科教育そのものの構造的な欠陥は、一貫して“言語の教育”を標榜してきて、いま一つ“言語文化の継承”の面で欠けるところがあったのではないか。ここに新課程の国語科教育を分析し、近づきつつある全面的な改訂に備え、国語科教育再建のため、率直な提言をしたい。」というような、出版の趣旨を述べておられる。
 先生はご著書の中で、「過去に学ぶこと、歴史に学ぶことの大切さは、そのまま自国の言語文化、古典を学ぶことの大切さにつながってくるから、小学校の段階で、児童向けにリライトした説話や物語などをたくさん与え、古典の世界に親しませるべきだ。」と、古典教育の必要性と充実を、繰り返し訴えられている。
 妹を始め多くの友人たちが、大平先生の国語の授業は楽しかった、と口をそろえる。当時から、魅力のある授業内容だったように違いない。残念ながら私は、3年間先生の授業を一度も受けたことがない。