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時発、筑波学園都市行きバス最終便まで、付き合ってくれるのはうれしい。
 立高時代から、静謐にして老成した大人の雰囲気を醸し出していた川端は、神
戸銀行に入行、その後の銀行の激しい変転のなかで、きっと大変だったろうな、と
はいらぬ心配のよう。相変わらずの士大夫の泰然自若、時に川向こうの八王子、日
野勢へのそこはかとない余裕は小平出身の相対的都会性のなせるところか。
 私はと言えば、香港単身赴任勤務の無聊をともにした浅海が、勤務先長銀の落
城時、励ましの電話をくれたのが内神田立高会とのなれ初めである。しっかりへこ
んでいた時で、心に沁みた。彼には、今以て頭が上がらない。
 まったくの不定期に大概は何の予告もなく、内神田立高会のベースキャンプ「巴
家」に長澤の電話で、なぜか、全員いそいそと集まってくる。その結束力には侮り
がたいものがあり、昨年の秋山恵美子リサイタルには、浅海の号令一下、略全員参
加を果たしたものである。
 素朴で純、かつまことに廉価にして贅沢な広東料理と、浮世の憂さを忘れさせて
くれるような、明るく華やかなおかみの笑顔を肴に気の置けぬ友と、一晩、他愛もな
い話題で過ごす、我らの至福の時である。            (田林 記)

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