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 春ちゃんは、トリオでのラテン音楽一筋三十五年以上なのである。立高から始まって早大のサークル、ラテンアメリカ協会で「トリオ・ソルテロス(=独身野郎)」を結成し、歌のパートはセカンドだったが、レベルはもうプロはだし。卒業後はプロを決意。大学トリオはメンバーが家業を継いだりで休止したが、立高の後輩たちと組んで銀座などで歌い始めた。駆け出しサラリーマンの僕らには行きたくても行かれなかった高級クラブ。モテただろうなあ。そしてメキシコオリンピックの頃に本場メキシコへ渡って武者修業。
 そのときのことが、新聞の記事になった。憶えています。中央線最終高尾行きの吊革に酔いどれてぶ
らさがり、ふと隣のおやじのスポーツ新聞をのぞき込んで、僕は知った。ちょっと酔いが醒めた。
 メキシコには数度渡って二年間ほど、ネイティブの本家とトリオも組んだ。時には女性を交えたトリオも。つごう六、七組のトリオを経験して、今のパラダイスで六年。今の日本ではラテントリオは五、六組くらいになってしまったが、実力はトップだ。そして、ようやく四、五年前から、僕たちの前に変わらぬカッコいい姿を見せてくれるようになった。彼のホームステージである赤坂の「ヌエボ・アンベ(意味不明。取材忘れですみません)」というメキシコ料理店で、同期が出合うようにもなった。今回の国立でのステージも、これで毎年の三年めである。
和気あいあい。大盛況の会場でした。
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