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 修学旅行で阿修羅に惚れた

●立高時代は美術部でしたよね?
○浅井 そう、先生は原田先生で、同期の部員は七、八人いたかな。でもあの頃の人はデザインや建築に進んだ人が多かった。
●美術を大学でやろうと決めたのはいつごろ?
○浅井 立高の修学旅行で京都、奈良へ行ったでしょ、仏像にドキッとしたの。美術部にはいたけれど、作家になる自信は全然なかった。でも美術をやりたいと思って調べたら、芸大のなかに、実技は二年生まで他と同じ量できて、美学、美術史があるんで、そこに行こうと。
●へえー、どんな仏像を見て感激したの?
○浅井 阿修羅をみて、あーと思って。興福寺の阿修羅。一番オーソドックスな反応のしかた。
●それで大学で仏教美術史を学んで、そのキャリアが生きたわけだ…。
○浅井 うーん、そうかな。でも禅宗のお坊さんのものがたくさんあるって言われて、同じ仏教ではあ
るなと思ったけれど。その時は何も解からなかった。禅の言葉も知らなかったし、読んでいくのに大変だった。
●漢文ができるくらいじゃだめなんだ…。
○浅井 今でも困っています。何を調べたら解かるかが解かるまでが一番大変でしたね。
●でも、仏像を見きわめる目は…。
○浅井 いっぱい見ていけば解かってきます。
●じゃあ、今の活動について。この富岡美術館は私設ですよね。
○浅井 ええ、財団法人ですけど。日本重化学工業という企業の初代の富岡社長が一人で集めたものが九百点くらい。この会社と関連会社から寄付は頂いているんですけど。ここへ来てかなり圧縮されてしまって…。
●その九百点あるものの展示を企画していくわけね。売れる売れない企画って?
○浅井 PRの仕方にかかってるかな。お客様も気まぐれで、私たちの思い入れたっぷりな展示に無関心かと思えば、思いも寄らない企画に反応したり。

松本節子さん(左)のインタビューに答える浅井京子さん(右)
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