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●成功した展示ではどんなものが?
数年前、平安遷都千二百年にした鉄齋(*注1)と魯山人(*注2)の展示ですね。いわゆるプロの学芸員からは何で鉄齋と魯山人を一緒に並べたかと悪評紛々だったんです。でも、鉄齋が見たい人と魯山人を見たい人が来て、その頃テレビで「料理の鉄人」とか、ドラマや漫画があったせいか平日で五十人から六十人、土、日は百人くらい来て、大変だったんです。何しろ二人ですからね。三カ月間とことんくたびれました。
●テレビとか本で紹介されたの?
○浅井 テレビでちょっとした紹介が二十秒でもあると全然違うんです。でも活字の方がすごいかなあ。テレビ、ラジオだと紹介されたその日に電話がワーと鳴って、仕事が手に付かなくなるほど。でも続くのは一週間。それが新聞だと電話が鳴ることは少ないんですが、三カ月の期間中、切り抜きをもった人がぽつぽついらっしゃるの。
●展示の企画は、年間どのくらいのサイクルで、どういうテーマで?
○浅井 一年間に四回、季節毎に展示を変える。
●じゃ、ワンクール長いんですね。
○浅井 足掛け三か月で、展示期間が五、六十日。夏だけ三十日くらい。夏は空調しても、物が傷みやすいから…
●夏休みにしちゃうわけだ。
○浅井 二人だけだから展覧会をしていれば祝日はすべて出勤。土、日も出勤。ゴールデンウイークも出勤。月曜日が休みで夏休みと年末年始に少し長く休みます。
●年四回のテーマって?
○浅井 所蔵品の三分の一が禅宗のお坊さんの書で、中国、日本、韓半島で作られた東洋陶磁といわれている焼物がやはり三分の一あって、あとはいろいろ。今回は大徳寺派ですけれども、白隠(*注3)さんのものもけっこうあるし、そのお弟子さんのものもあるので、四季のうちの一つは禅宗のお坊さんの関係のもの。それから東洋陶磁。あとの二つなんですよね、問題は。でも近世の禅宗のお坊さんの書画といえば出光美術館の仙崖と、目白の永青文庫、細川家の白隠コレクションが有名です。それに知る人ぞ知る富岡美術館。

静かで落ち着いた展示場
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