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●わー、渋いんだあ。
○浅井 そういうわけで、一年に一回は全書画を出して、あと一回は焼物を出して、あと一回は工芸品があったり、絵があったり、彫刻があったりさまざまですけど。考古品もあるんです。埴輪みたいなものから、仏像、仏画。それからお茶道具から鉄齋、実篤。実篤は五十点ぐらいあるから。
●実篤って、あの胡瓜やナスビの絵に「仲良き事は美しき哉」とかの? ひゃあ。(笑)
○浅井 そう(笑)。私達はカレンダーや色紙で実篤さんをさんざん見たからもう、ちょっと、という感じがあるでしょ。でも、この間学生が来て、「へー、実篤って絵も描くんだ」って、しみじみ見ていました。いま、絵手紙がブームでしょう、若い人には新鮮みたい。
●若い人向けに『実篤展』というのはどう? 千円くらい取って。
○浅井 今年の二十周年記念、四月は白隠さんをやって、夏は立体物をやろうかと。埴輪から唐三彩、現代彫刻まで。現代物は今までほとんど出したことがないんです。古い物から現代物まで一気に並べてしまおうと思って。秋は久しぶりに一番オーソドッ
クスに中国の陶磁の一番古いところから清まで通史的に並べるでしょ。冬は絵を、鉄齋・実篤から現代物までずらーっと並べようと。今まで近代、現代のものはあまり出したことがないので、コレクション、富岡さんという一人の人間が何を集めたかを見てもらおうと思っているんです。
●個展のようなものはやらないの?
○ 浅井 個展はいまちょっと予算的に…。たとえば、いまやりたいと思うのは現代金工の作家展で、これまでに鍛金(たんきん*注4)と鋳金(ちゅうきん*注5)はやったんですよ。四年に一回くらい。あと残っているのは彫金(ちょうきん*注6)これをやれば一応技法からの紹介は済んで、本格的に若手の作家を応援する展覧会ができる。他の工芸にくらべて金工の展覧会って少ないから。

 ふっと息のぬける場所にしたい

●なるほど…私は古美術が好きなほうだと思うんだけれど、でも正直なところ、関心の薄い人にはちょっと取っつきにくいでしょうね、ここ。お客さんはどう?
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