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らしの安全」。
・5・情報の質/インターネット・バブル・ 1・欲しい情報ははやりのインターネットからは得られない。去年からアナログカメラに凝っている。ネットで得られる情報は広いが浅い。本当に知りたいこと、ファインダーの見易さ、シャッターの重さや応答や音、全体バランスは実物を触らないと分らない。弱点や評判は持っている人や店員に聞くか紙の雑誌じゃないと分らない。 2・専門情報はありがたい。パソコンの部品の仕様書、使用法、ドライバーソフトなど細かい情報はネットなしには得がたい。ただし、日本のサイトが役に立ったことはない。 3・不安。私はパスワードを覚えられない。また、ほとんどが無防備なネットワークでクレジット番号を送る気にはなれない。ということは買い物ができない。 4・メイルは便利だ。だがちょっと待て。そんなに急いでどこへ行く。戦時下以外、要緊急重要情報などあろうか。少なくとも私には無い。携帯電話も同様。トイレの中で電話に答えなければならないなら拷問だ。停電でも使えるのは旧式の黒電話だけだって皆さん知ってるかい。で、紙と切手で十分。
・6・大森荘蔵の言語・知覚・世界・1988年入手。現代の本。これが私の好奇心に火をつける。
・7・竜樹の中論・1989年入手。人生最上等の情報。昭和5年刊の「國譯一切経、中觀部一」を小樽図書館で探す。オンライン検索でも北海道の図書館になし。後日、司書の方が待避図書の中から見つけてくれ、早速コピーをとる。この本には鳩磨羅什の漢訳とその解釈、サンスクリット音とその直訳が載っている。漢訳のみの時代、かの聖徳太子でもさぞかし苦労したにちがいない。私に漢訳は全く歯がたたない。サンスクリットの直訳は日本語であるが、さっぱり意味がわからない。高校1年のときの数学よりもずっとわからない。だが、これがただの無茶苦茶なら歴史に残っているはずがない、で、一年以上諦めずもがきしがみつく。高校2年で数学が少し見えてきたのにちょっと似て、中論が少しだが見えてくる。すると、子供のときの微小世界の循環の不思議な感覚、20代の道元の非合理はもはや少なくとも無茶苦茶ではない。以後、私は深く見るとき、深く考えるとき、よく竜樹に戻る。物質世界の構造を見たいとき、ニュートン力学に戻るが如し。
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