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★着色料に南米産のゲジゲジが・・・

 消費者運動というのはいろいろな変遷を経てきています。食品添加物の問題から、私たち日本子孫基金のアメリカ調査から始まったポストハーベスト農薬問題、環境ホルモン、また今日、主要なテーマとしてお話しさせていただく遺伝子組み換え食品まで、いろいろな関連でつながっています。
 経緯として見ますと、1973年に第一次オイルショックを契機に各地で草の根の消費者運動体が生まれ、そこではまず、食品添加物を中心的なターゲットにしました。私たちがこどもの頃はサッカリンとか、チクロとかいろいろありまして、サッカリンはすでに医療用、糖尿病の方の治療用以外には、食品としては使われなくなってきています。いろいろ評価が変わってきている物質で、発癌性があるとかないとかの問題は今も続いています。
 その後、食品添加物も、輸入食品が増えるに従っていろいろ変化がありました。例えば着色料の中に、赤い着色料、イチゴ色をした「コチニール色素」というのがあります。これは南米のサボテンに寄生している虫からとります。非常に鮮やかなエンジ色がとれるため、ローマ時代には貴族が黄金よりも高い値段で購入し、衣服を染めたといわれていますが、その成虫はこれが食品になるのかとはとても思えないようなゲジゲジです。
表示を見ると、「コチニール」あるいは「コチニール色素」と書いてあるのがそれです。これは天然系添加物に分類されますが、シソの葉や、クチナシの


実で色づけをするのとは違い、もともと食品ではなく、変異原性という、私たちの体の遺伝子に傷を付ける作用を持っています。ですから食品添加物としては、本当はふさわしくないものです。
 また甘味料として、「ステビア」あるいは「ステビオサイド」という表示を御覧になったことがあるかも知れません。これは南米のキク科の植物で、ちょうど春菊のような形をしたもので、甘味が砂糖の200倍くらいあり、飲料や漬け物などにかなり使われています。梅干しなどにも随分使われていますが、もともと現地の原住民は避妊薬として使っていたものですから生殖機能への影響があるし、変異原性もあります。これも注意が必要です。
 私たちは合成添加物と天然系添加物とを比べた場合、合成のものは石油から作るタール系色素など問題があるのではないかと感じ、一方、天然と聞くと、何か安全なように思いがちですが、天然系添加物というのはかなり問題のあるものが多いのです。これは私たち一人一人が表示を読みとる力を身につけない限り、なかなか解決できません。
 最近は、たらこなどにはかつてのような毒々しい着色は減ってきています。これは私たちが毒々しい色はいらないと、買わなくなったからです。正確な知識を持って食品を選ぶことはシステムを変えることにつながり、私たち一人一人の消費行動というのは大変に大きな意味を持っています。
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