★遺伝子組み替えと品種改良は違う!
遺伝子組み換え食品について、どう考えたらよいのでしょうか。これには意見がふたつに分かれます。これを推進する側は、品種改良の延長に過ぎないのだという言い方をしています。確かに現在の私たちの食べ物は品種改良の賜物で、美味しいものを、いつでも食べられるという恩恵に浴しています。
それに反対する私たちの意見はこうです。品種改良というのは、長い時間かけて作り出すもので、同じ種か近種の間で行われるのが原則です。遺伝子操作作物というのは人間が遺伝子を人為的に操作して作り出したもので、そこでは人間の遺伝子を食べ物である植物に組み込むことも可能です。実際には微生物の細菌の遺伝子を組み込んだり、あるいは農薬の成分を組み込んだりして、種の壁を越えて操作されたものです。
だから、遺伝子組み換えは品種改良技術とは基本的に違うという主張です。これはどこまで行っても平行線です。ただこれからもう少し時間がたつと、問題がより鮮明になってくると思います。
そもそも遺伝子組み換え食品は、いずれも世界的な多国籍農薬化学メーカーによって開発されています。まずモンサントが、21世紀の食糧危機を救う夢の技術と喧伝し、1970年代頃からこうした技術開発を進めました。私たちは、その根幹にある食料問題に関して、問題のありかたが違うということで、市民レベルで別の試算を試みました。 |
その報告書は環境持続社会研究センターというところから出ており、「人口100億時代の地球、持続可能な社会は」と題して、毎日新聞が記事にしてくれました。
その内容を紹介しますと、例えば日本人の並の食生活ではオリジナルカロリーとして四千キロカロリーが平均値とされています。それは、現状の世界の耕作地で42億人を養うことができます。
しかしアメリカ並みの食生活のオリジナルカロリーでは11000キロカロリーとなり、これでは15億人しか養えません。では、基本的に穀物中心の食生活を送っているというインド並みのオリジナルカロリーを2400キロカロリーとして計算すると、なんと73億人も養えることになります。しかし、100億は養えないということなのです。
では、100億人を現状の農法で養うにはどうしたらいいか?と考え、提案をまとめたのが、この報告書です。最近では農水省が、食生活のあり方として食べ残しや食品の細菌による無駄を減らそうと言い出しています。
日本の食べ残し廃棄の年間総量は少なくとも700〜800万トン生じていると言われ、先進国はどこもこれと大差がないでしょうが、アメリカはもっとひどいはずです。その無駄が適正に配分されれば飢える人を出さなくて済むと、行政までがこう言いだしたことに現在の食の差し迫った状況がよくあらわれています。 |