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★環境容量と世界100億人を養える方法は?

 そこで、私たちは国際的な食べ方と献立の違いによる耕地面積の国際的な比較をやりました。
 まずは洋食。フランスパン、ステーキ、ベイクドポテト、コンソメスープという献立だと753.9キロカロリー、これが耕地面積だと2.31平方メートル必要ということが分かりました。
 これに比べ、ファーストフード、ハンバーガー、フライドポテト、コーラという食事ではカロリ−はほとんど変わらず746.7キロカロリー、耕地面積は1.52平方メートルです。
 一方、和食はどうでしょうか。ご飯、豆腐のみそ汁、鰺の干物、肉じゃがという献立を想定すると、これもカロリーは大体同じで748.8キロカロリー。しかし、耕地面積はわずか0.53平方メートルです。洋食と和食とではこれだけ違うんですね。
 食糧資源だけでなく、鉱物非再生資源あるいはエネルギー、こういったもののエコスペースいわゆる環境容量という計算もしてみました。『オランダ地球友の会』が1972年地球サミットの直後に計算を行い、オランダの例として算出したもです。
 人口一人あたりの環境容量がどれくらいあるかという計算で、その結果オランダ人は全人口に占める割合が何%、だから肉を食べられるのは週に一回、自動車に乗れるのは月に何日、飛行機に乗れるのは一カ月に一回とか、具体的に数値を出したんです。


 日本の場合、かつて耕地、田圃は二毛作、二期作をやっていました。いまでは日本の田圃は一回しかお米を作らずに、半年は放置してあるんです。もし昔のように裏で麦を作ると耕地を二倍活用できます。そういうこともいろいろ試算していくと、21世紀において遺伝子組み換え食品に頼らなくても、現行農法で飢える人を出さずに済む。百億人を養うことができるという結果が出ています。 遺伝子組み換え食品というのは、アメリカが中心となって70年代から開発されたもので、たかだか30年の時間しか経っていません。
 私たちが今食べている食料というのは何万年という時間の経過のなかで、食べられるものと食べられないものを人体実験しながらより分けてきて、最後に品種改良技術を加えて作り出されたものの集大成です。ところが遺伝子組み換え食品というのは全く違うものです。
 いま遺伝子組み換え食品として開発されて流通している作物は、大豆、馬鈴薯、菜種、トウモロコシ、綿、テンサイです。トマトは流通していません。カゴメとキリンが認可を受けたのですが、商品化を断念しました。大豆、馬鈴薯、菜種、トウモロコシは日本ではまだ作られていませんので、すべて輸入ものです。
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