農工大で農業生産工学を学んだ
●ふーん・・・それから、大学は?
○清水 一浪して農工大学の農学部。
●なぜ農工大?
○清水 いや、別に・・・。工学部に行きたかったんですけどね。家が飼料製造なんて商売をしてたし、長男だし、いずれは継ぐのだろうなと思って。本当は農業電子をやりたかったんだけど、農工大にはなかった。で、農学部の農業生産工学科。あの当時は生産工学ばやりだったけど、これは女性でいう家政大学と同じ発想なの。女性はそれ以前の時代には家事に縛り付けられていたでしょ。それではいけない、女性はもっと外に出ろ、そのために効率的な家事のやりくりをどう実現するかということで家政大学が出来た。そういう時間の使いかたが問われはじめた時代で、能率的生産主義とか、高度主義とかの生産工学が日大なんかに設置されはじめたわけね。これを農業生産にも採用しようと、農工大学に設置されたのが農業生産工学。 |
●一口では言えないだろうけど、どういう学問なの?
○清水 必要なことをいかに効率的に、短時間でやるかっていうこと。農業生産の昔は、骨身を惜しまず、ひたすらがんばるって時代だったでしょ、それが機械化されトラクターなんかが入ってくると、隣に負けまいとすぐに自分のところでもトラクターを導入する。でも、そういう一部分だけの効率化機械化ではダメだっていうのが農業生産工学でね。つまり農業生産体系ってのがあって、まず生産効率全体を良くすること。全行程が出来上がる前に、途中行程をいかに効率的にやってもむだであると。
●機械化って単純ではないんだね。それで卒業後はすぐに家の手伝い?
○清水 いや、三鷹にある共立農機という会社に就職して、機械のパーツだけど、その設計図を引いていた。戦前は飛行機がメインの会社だったけど、戦後は動力噴霧機とか農業機器を作っていた。主に僕がやっていたのは設計図変更ですけどね。 |