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重い課題ですけど、「ピンピンコロリ」が理想的な死で、動物学的には本来の形に近づいているということです。
 適応力や瞬発力は劣るけれども、いわゆる判断能力は必ずしも落ちるわけではない。新藤兼人さんの話の中で、杉村春子さん、当時ちょうど九十近い方が十六歳の少女を演じるとき、当然その挙動はそんなに素早くない、それをうまく演技できるのは、ひとつには加齢の力だといっておられました。そういう意味でのごまかしという裾野表現や判断していく能力がどんどん高まっていく、これは、非常に力強い話だなという気がしまして、これもひとつのステップかなと思いました。
■障害も個性

 このキャンペーンの中で、いつも思ったのは高齢者をどうとらえるかということなんですけど、障害者の方たちと、かなり話をしました。その中で、小沢由美さん(当時十六歳)、筋ジストロフィーに似たウェルドニッヒホフマン症という難病で、二の腕が本当に細くて、もう針金みたいなんですけど、その彼女がハワイの沖でイルカと一緒に泳いたり、本を書いたりしているんですが、その方と話をして、非常に泣けてくる話なんですけれども、「障害があってもそれが個性と思って生き抜きたいんだ。こういうことがあるから、私はあなたとも会えて、本を

ディスカッションもさまざまに行われた。
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