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第二部 ディスカッション

■介護保険って?


司会 これからお二人の報告をふまえての話し合いに入ります。まず、今、皆さんがかかわっている介護の問題についての質問をお受けしたいのですが。
三宅征子 介護保険の認定についてですが、認定作業そのものが実情に合わないということが取り上げられていますが、そのへんのことを伺いたいと思います。
白井 本当は介護度の認定などということではなくて、その人に必要なサービスが受けられればいいんですよね。でも介護保険をつくったときに、介護度によってサービスの量を決めるということになりました。介護保険の申請をすると、認定調査員が八五の調査項目のチェックをします。その結果をコンピューターにかけて、一次判定を出します。かかりつけ医師の意見書とで、五人の委員で構成されている認定審査会で介護度が決められます。介護というのは生活をサポートすることだと思いますが、認定調査の項目では日常生活動作の自立について聞く項目が多く、家事についての援助が必要かどうかの項目が少ないと思います。
三宅 私たちの親の世代といいますと、とかく人に迷惑をかけたくないという思いから、調査員が来る
と頑張ってしまって、いつもはできないことでもしてしまうということがあるようですが。
白井 私たちはドアを開けたときからその人を見ていますし、本人のいないところで家族の人から話を聞きますので、ある程度正確に把握できると思います。
岩野浩二郎 痴呆の判断とはどう行うのですか。
白井 介護の必要度という点から調査を行いますので、チェックだけではなく、具体的に困っている点などは特記事項で書くようになっています。痴呆症かどうかの判断は医師の仕事になります。
大串 私の取材では、オーストラリアではこうした問題に対処できるアセスメントチームができていてそこには訪問看護婦もいて、痴呆の症状の出たお年寄りを、まず施設に入所させ、そこで一、二週間様子をみるという方法をとっていますね。日本では施設に入る前に審査がありますが。
宇津木宏征 一度認定されても、その後状態が進行したりすることがあると思いますが、変更は可能でしょうか。
白井 一度認定されると六ヵ月、状態が安定している人は一年後に次の認定をします。状態が変化したときは、区分変更申請をして再判定を受けることができます。
宇津木 介護度によって利用者の負担額が違うようですが。
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