白井 介護保険の基本は、かかった費用の一割を自己負担するというものです。デイサービスや入所施設を利用する場合などは、介護度によって料金が違ってきます。介護度が高いこと=手がかかると考えられているので、料金に差が出てくるのです。デイサービスの場合、要介護1、2の人の自己負担額が一回当たり756円だとすると、要介護3〜5の人は954円になります。介護保険になるまでは一律いくらということだったのですが、介護度でいくらとなったので、余計に介護度が問題になってきています。つまり介護度の高い人のほうが施設としてはお金が多く入るということなんです。特別養護老人ホームの場合も、食費負担は同じですが、介護費用は要介護1〜5で段階ごとに違います。要介護1だと1ヵ月当たり2万4836円ですが、要介護五だと3万389円となります。この金額の差は約5500円ですが、施設のほうではその10倍の収入ということになるので、より大きな問題です。
司会 介護保険の導入によって、それ以前と同じサービスを受けようとすると、それまでより負担額が増えてしまうということがよくいわれていますね。これについてはどうなんでしょうか。
白井 介護保険になる前は、応能負担といって、生 |
計中心者の所得に応じて費用を負担してもらう形になっていましたので、高齢世帯の人などは無料で利用できていた面もありました。その人たちは一割負担になって、負担額がふえたということになります。経過措置で減免制度もありますが。一方、働いている子どもと同居している人などは、費用が安くなったと喜んでいるという面もあります。介護保険になって、ヘルパー派遣やデイサービスなどの利用が全体としてふえているのは、この層の人たちが利用しやすくなったともいえると思います。私自身は、他人様の財布の中をのぞく必要がなくなって、気楽になったのですが。
宇津木 介護保険について体験的なことを言いますと、急に倒れて、その瞬間からおかしくなってしまったというような場合、一時的にすぐ入れる施設がほしい、と切実に思いました。そうすれば一週間くらいそこにおいてもらっている間に家族がこれからのことを考えることができると思うんです。現在はない。これでは予測できないことが起きたとき、周囲はパニックになってしまいます。
司会 市によっては、こういう場合、個人病院がショートステイをさせて対応していると聞きますが、制度としてはないですね。 |