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白井 本人が病気になった場合は、病院に入院させてほしいと思います。その場合に、環境が変わったことで落ち着かなくなってしまうことがあって、付き添いを要求される場合があります。入院が短期間で、家族にもゆとりがあって付き添えるとよいのでしょうが、そうでない場合は病院のほうで、きちんとみられるだけの人手をまかなってほしいと思いますね。また、家族の急病などで、ショートステイを利用したいときにすぐ入れないという問題がありますが、これはショートステイセンターなどに緊急枠のベッドを確保しないと難しいと思います。施設も増えましたが、利用者も増えておりますので、地域の基本計画の中にこうしたことを初めからきちんと組み入れておかなければならないと思います。こういったことが今後の課題になるでしょう。
三宅 スウェーデンとかイギリスで実習されたとのことですが、福祉先進国といわれているそれらの国は日本とどこが違うのかお聞きしたいと思います。
白井 どちらの国も社会政策がしっかりできています。〈老い〉という問題に正面から取り組んでいる
と思いました。法律で制定されたことは、政府は実行する義務があるんですね。予算がなかったから、ではすまされない。スウェーデンの〈社会サービス法〉なんかとてもシンプルで、これでよいのか、と思うほどです。シンプルだからだれでも理解できる。法に定められたことは必ず実行されるということを、皆、知っているから、安心して暮らせる。税金が高くても何に使われるかわかっているから、払う。家のローンやサマーハウスのローンは控除されるので、日本でいわれるほど税金は高くない、と向こうの人は話してました。イギリスも法律は絵に描いた餅ではないということを徹底した社会で、必要なサービスをしないと訴えられるというお国柄です。ただスウェーデンと違うのは予算については厳しいということです。ボランティア活動で助け合えるところは助け合い、限られた予算を有効に使うよう工夫しています。
三宅 結局、政策と予算が問題になってくるわけですね。
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