■講座その三 客殿に戻りて
珠陽院境内は広い。本堂、客殿のほかに、背戸庵(釈迦堂)、杉木立の脇には墓地、建物には五三の桐の寺紋とともに三つ鱗(北条鱗)の建長寺派の紋、瀬戸岡の地域での600年の歴史はいかに?との思いも頭をかすめました。
再び客殿に戻ると、夫人(正式には「寺庭婦人」と称するのだそうです)心尽くしの甘酒をいただきながらの話となりました。いや、この坐禅の後の甘酒の美味かったこと!
またこのためにだけでも来てみたい!という感じでありました。
ここで問いに答えて、生田和尚いわく・・・
Q 線香っていろいろあるんですか?
生田和尚 あ、いろいろあって、まずお香ですからお気に入りのがあるんです。それでこれでやれっていえばそれでやります。長さは40〜50cmほどで通常2時間くらいになりますが、乾燥しているときと湿気があるときでは全然違うんです。風があるとかね。梅雨時なんかは長くなりますね。 |
Q 警策は、お願いしなければ打たれないんですか?
生田和尚 今日みたいな場合はお願いした人にだけ打つのですが、いわゆる行になると1日中の坐禅が一週間続くわけですよ。ですから3日目ぐらいから寝ちゃうんです。そうするとお前寝たぞと、合掌されたからではなく、お前寝たぞと叩く者の方からポンポンとやって覚ます場合も
あります。
Q 姿勢の定まらない者を打つんじゃないんですか?
生田和尚 それは許されない。でもさっきは始まった時からふらふらしていたヤツがいて、尾崎なんかは一番叩いてやりたかったけど、叩きの希望者が多すぎて叩けなかった。残念でした。
そんなわけで、とりあえず坐禅の本講は終わったが、本・珠陽院は建長寺末すなわち鎌倉の建長寺が本山なのだという。そして五日市の広徳寺というのがこの辺の本寺なので、前掲『新編武蔵風土記稿』にも「昔よりしかるべき寺院なりしことしらる」とされているこの五日市の名刹広徳寺を見学して、その近くで新年会というか、補講というか、そういうふうに流れましょうということになった。
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