■講座補講 呑み処「黒茶屋」にて
改めて、生田和尚自身を語っていわく・・・
Q いやあ、生田和尚は、なんでまた寺の住持になんか……?
生田和尚 家が代々これですからねえ。でも、私はなかなか継ぐ気持ちになれなくて、大学で英文学をやって卒業してからは英語の先生をやってたんですよ。親父の死ぬまで決心はつかなかった。
Q で、いつ頃から修行されたんですか?
生田和尚 家は建長寺派ですから、親は早くから建長寺に修行に行けとうるさかったけれど、ようやく行ったのは、女房がいて、子どもが二人できてからでね。本当は独り身のときに行けばよかったけれど。
Q 奥方から反対されなかったんですか?
生田和尚 そんなこと言われなかった。愛しているから。
Q 禅宗というのは妻帯は許されてるんですか?
生田和尚 いや、あのー、そのー。
Q そうか、仏教は妻帯が許されてんですよね、いいなあ。
生田和尚 そうですね。
Q 今年で、すると和尚歴は……?
生田和尚 20年。檀家は私みたいな者でも得体が知れてるから、やはり継いでほしいんですよ。私はその頃、寺に帰って寺に住んでましたけど、勤めに出ていて寺とは全然関係なかった。だけど先代の葬式やるときに跡をとりますと言わないと、葬式が出ないような関係になってしまった。世襲制になってるし、親父もちゃんとやってきたから、やっぱりしょ
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うがないかって。
Q 檀家はどのぐらいおられるんですか?
生田和尚 うちは大体400以上ですかね。でも、あんまり大きくなってはだめですよ、お寺は。戒名は和尚、住職がつけるわけですから、本当は檀家の皆の性格を知ってなければいけない。本来なら経歴とか性格とか何かをね。
Q でも檀家にとっては、坐禅会なんかに参加できるのはとってもいいでしょうね。
生田和尚 そうですね。終わった後にお茶なんかやるでしょう。それで和尚の考えは筒抜けになっている。もちろん葬式の時にも話をするんですがね、なんせ30分刻みでやるから、肝腎なことを話す時間がないんですよ。で、そういう席で改まってやるよりも、坐禅会のような席でひらたく話したほうが、やっぱりこの世の中が自分にもよく分かってくるし……。
……以降の「補講」の内容については、質問者の酔いの進展に伴って次第に「推して知るところ」となり、かくして、すべての「講座」はいつか終了となりました。
かくのごとく坐禅会は実に楽しく実り多いものでありました。しかしてまた時はデフレ、リストラの憂き世。われわれの世代もなかなかに生き難い時代でもあります。
こんな折、せめて心内だけでも穏やかに己が来し方行く末をじっと見直してみるのも、必要なことには違いありません。生田恵稔和尚に導かれ、また再び、しかも定期的に坐禅会に参加できる機会をもちたいと思いますが、いかがでしょうか?
(記/尾崎成孝 テープ起こし/堀池美智子)
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